Monday, May 26, 2008

サマリア 사마리아 Samaria

援助交際をする女子高生と,その事実を知るようになった女子高生の父の復讐と和解を描いた作品

▼ヨーロッパ旅行に行くお金を集めるために,チャットで知り合った 男たちと援助交際をする女子高生ヨジンとジェヨン。ヨジンがジェヨンであるように男たちとチャットをして電話をかけて約束をすると,ジェヨンがモーテルで 男たちと会って援助交際をする。ジェヨンが男たちに会う前に化粧をして男たちに会っている間,ヨジンは,外で待つ。

▼顔も知らない男たちと会ってセックスをしながらも,常に笑いを失わないジェヨン。ヨジンは,男たちとの出逢いとセックスに意味を付与するジェヨンを理解できない。お金を与えて女子高生のからだを買う男たちは,ヨジンとって皆汚くて不潔な存在だ。

▼そんなある日,モーテルで男と会っていたジェヨンは,突然押し 入った警察から逃げようとして窓から落ち,死んでしまう。ジェヨンの死に大きな衝撃を受けたヨジンは,ジェヨンを追悼するために,手帳に記された男たちを 順に訪ねて行く。援助交際後にジェヨンがもらったお金をヨジンが順に返して,男たちはむしろ平安を得るようになる。男たちと寝た後,男たちを篤実な仏教信 者として率いたインドのパスミルダのように,ヨジンもまた,関係を結んだ男たちを順に浄化していく。

▼刑事ヨンギは,事件現場に行って,偶然に自分の娘ヨジンが男と一緒にモーテルにいるところを目撃する。妻と死別し,娘と二人で暮らしてきたヨンギ。娘の行動は,途方もない衝撃としてヨンギに迫り,彼は,ヨジンを尾行し始める。
sunairi: 援助交際というタイムリーな内容で多分、キム・ギドク監督も少し流行的なことをしようと思ったのでしょうが、何故か、女優のチョイスがあまり今風ではない。そのサマリアと呼ばれる女の子の顔が少し東南アジア系の顔だった為、今の韓国の女の子と言う設定が少し旨くいってないような気がした。もう少しすっきりの顔の切れ目の女の子だったらもっと今風ではなかったか?

しかし、つまらない映画に良く有るめんどくさい話の展開、もうわかっているけど見なければいけないと言ったような物は全て綺麗にもぎ落とされ、シンプルな展開説明を入れない静かな雰囲気がとても見やすい。『アドレス・アンノウン』やら、『春夏秋冬そして春』みたいなとってつけた感はない。『息』の時の静かな展開の速さや、『うつせみ』みたいにピアノの音楽が寂しさを演出する感じで、この映画は進む。とても綺麗。女の子達の関係はとても同性愛のプラトニックなものです。一人がもっと好きで、一人は色んな男と寝る事が好きな女の子。二人で旅行に行きたいがため、売春を行っているが、寝る男男と感情移入してしまう一人に、女は嫉妬をする。

しかし、セックスをすることで男性を浄化しというインドのパスミルダの伝説。少しこれは男性の女性に対するピュアなイメージの願望のあらわれ。最後に父が娘がどういった理由であれ売春をしていた事を知り、理解に努力し、寝た男たちを復讐し、娘と一緒に妻の墓に行った後、父は娘を放し飼いにする。見捨てると言うことだ。父は妻が死んでも一生懸命生きた。誰とも寝ずに、誰とも何のこともせずに。

なのに娘はこんな事を、父は傷つき娘を見捨てる。これは女性に対するピュアでいて欲しいと言う欲望。所謂完ぺき主義では?もちろん父はもう結構来てる人だ。仏教や神の信念を娘の登校時に説くと言ったぐらいの激しいストイックな性格。だから故娘さえも許せないとは。少しびっくりする。少しこれは女性差別では?結構女性の結婚前のセックスに少し保守的な韓国のイメージが浮き上がったような気がする。(これは今でもそうか知らないが)。

結構キム・ギドク監督、真面目で、ストイックで、理想が強く、そして混沌とした物を感じる。