Sunday, May 18, 2008

ニワトリははだしだ 監督:森崎東

舞鶴に住む15歳の少年サム(浜上竜也)は知的障害を持っているが記憶力は抜群にいい。在日朝鮮人のハハ(倍賞美津子)は潜水夫のチチ(原田芳雄)とサムの教育方針をめぐって対立し、現在妹を連れて別居中である。そんなサムとその家族が、暴力団を巻き込む警察汚職事件に巻き込まれてしまうが…。

鬼才・森崎東監督が『黒木太郎の愛と冒険』『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』といった怒りと笑いの活劇を彷彿させる新たな快作を作り上げた。ここでは現代日本が抱える社会問題が詰め込められるだけ詰め込まれ、その混沌とした中での猥雑で骨太な笑いから庶民のたくましさが活写されていく構図となっている。倍賞、原田など森崎映画ならではの常連キャストのいつもながらの好演も心地よく、また養護学校教師役の肘井美佳の初々しい快活さも印象的だ。(増當竜也

sunairi:ポスターを2年前に見たときから少し気になっていた映画だった。色的に日本の映画ではないのかと思っていた。タイトルも邦題がこれだと思ってたため、日本のビデオストアーにあった時も少し台湾の映画だと勝手に思い込んでいた。

見始めたら少し面白くないかなーと思いながら見ていました。でもやはりポスターを見たときから判ったけど、主人公のサム君は元気を与えてくれる何かを持っている。自閉症の素直さはいいものといった感はあったけど、「what'seating Gilbert Grape」おレオナルド・ディキャプリオも良かったけど、この子もとっても良かった。お父さん役の原田 芳雄はもうはまり役、サム君は「父」と彼を呼ぶけど、その父はとても優しく、愛するが故に心配性。とってもすてきな、そしてひょうきんないい父親をしていました。在日韓国人のお母さん役は倍賞美智子、昔賠償美智子と言えば好きな女優の一人でした。なんか貫禄あってでも綺麗で。在日の複雑なアイデンティティーをからっと、骨太にやっていました。おばあさんの李 麗仙も良かった。実を言うと皆旨かった。皆言い味を出して、見てる間に感情移入も沸々と。

何の偶然か『パッチギ』を見た後に、其れと『それでも僕はやっていない』を見た後に、在日韓国人の心情、状況、そして日本の社会の不可解なところ.......「あの日の丸が上る限りこの国は腐っている」(記憶から書いたので確かな言葉ではないかもしれないが、こう言ったことを台詞で言っていた。)などと、社会風刺をさらりと行っていた。とても其れがいやみがなく、サムを愛する人たちが、本当に愛の問いを健闘します。

何だかんだいって心に残る映画でした。