Wednesday, March 19, 2008

「ゆきゆきて神軍」 原一男



今村昌平をプロデューサーに迎え、出ましたド迫力の超ドキュメンタリーの奇才、原一男の『ゆきゆきて神軍』です。「ゆきゆきて..」は日本の終戦後の傷 跡、天皇を信じ命をかけた日本軍の一人の男性の生き様を描いています。これは私の長年考えて続けていた「大日本帝国主義という壊れてしまった信念を、日本 人はどの様に昇華したのか?」という疑問を一人の男の人生で、それも彼が突進するかのごとく生き抜く現実の中から描き表しています。現在1月31日から2 月4日まで原一男の映画をニューヨークのアンソロジー・オブ・フィルム・アーカイブスでやっています。第一日目の今日、見に行って来ました。半分ぐらい埋 められた席は大半がアメリカ人のフィルムフェチ的な人々の中で、私は一人日本人しか判らない様な場所で大笑いしていました。主人公の奥崎謙三は政治のキャ ンペーンの時に使う様な車(ほら四角形の字の書かれた看板が乗ってるやつですね)の日常から乗り回し、天皇陛下の誕生日の日には抗議のスピーチを皇居まで いってしてしまう強者です。しかし、国に捧げ命をかけた者の根性の強さ、そして戦争への怒りをまじまじと感じました。話はこの奥崎謙三が、戦時中居た ニューギニアで何らかの不明なまま死んで行った2人の戦友、ましてや日本軍の上官に殺されたのでは、いや殺された真実を追って、今や普通に暮らしている元 戦士達を尋ね無理矢理の質問、そして暴力等も含めながら、広島、神戸、島根等を行ったり来たりしながら暴いて行くのです。奥崎謙三に言わせると元兵隊で悠 々と今の日本の中で暮らしているのは罰があたるとまでの、彼の徹底した信念をベースとした生き方は本当にドキュメンタリーとはこうでないとと私をうねらせ るのでした。ここであまり内容を暴露したくなく、皆様方是非見てください。戦争とは本当はこうであった。これが真実じゃいと言わんばかりの生々しい記録で あります。戦争のかけらも知らない私達には、これくらいのダブルパンチが必要かも!是非ご覧下さい。

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