Friday, May 16, 2008

それでもボクはやってない 周防正行監督

Shall we ダンス?』以来10年ぶりの新作映画。前作の封切り後、じっくり時間をかけて地道な調査活動を続けてきた監督が「どうしても作りたかった」という、日本の刑事裁判に疑問を投げかける社会派の作品である。周防監督は、2002年に東京高裁で逆転無罪判決が出された事件をきっかけに痴漢冤罪(ちかんえんざい)に関心を持ち始め、自ら取材した数多くの同種事件の実在エピソードを作品中に散りばめるなど、痴漢冤罪事件を通じて、日本の刑事裁判の実態を映像化している。

2007年8月には、第80回アカデミー賞外国語映画部門に日本代表作品としてエントリーされた。また、同年5月には、スイス・ジュネーブで開催された国連の拷問(ごうもん)禁止委員会に合わせて現地で上映され、委員の過半数が映画を鑑賞したという。

ストーリー

フリーターの金子徹平は、朝の通勤通学ラッシュに大混雑する電車で就職面接に向かう際、女子中学生に痴漢と間違えられてしまう。敢えて無実の罪を認めて示談に持ち込むという妥協を拒み、あくまで濡れ衣を晴らそうとした徹平は、逮捕された挙句、起訴されることとなる。そして、徹平と彼の支援者達の長い戦いは幕を開ける。

sunairi: 映画を見るということがその時間の流れや凝縮した緊張感を感じさせた。見る内に社会の構成、そしてその矛盾と疑問が逮捕、裁判と言う流れに沿って自然に現れた。自分の仕事の地位をまっとうしようとする人々、そしてざわめき。

どうする事も出来ない日本の社会の仕組みを裁判所という場所で表す。日本という社会を、真実を問う裁判所に浮き彫りにする映画。この様などうしようもできない曲がって成り立っている仕組みというのは、その類の反対運動をするよりか、問題定義として芸術や映画、歌で表現される。映画という手法で其れがなされているのだが、映画特有の感情の何たら、愛が何たらなどを全てなくし、事件と裁判という明快な要素だけで作られたのが非常に良かったと思う。

これが「スイス・ジュネーブで開催された国連の拷問(ごうもん)禁止委員会に合わせて現地で上映され、委員の過半数が映画を鑑賞したという。」などと聞くと納得する。映画でありながら真実を問い、そして社会を問う。、『Shall we ダンス?』で海外を垣間見た周防正行であるからこそ、日本をもう一回内にいながら他者の目で見ることが出来た為の映画ではないだろうか。『誰も知らない』より海外の人に見てもらいたい映画です。

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