Saturday, April 5, 2008

拳が泣く 주먹이 운다  Crying Fist

不遇な環境で成長した少年院出身の19歳のボクサーと,事業に失敗して空っぽの人になった40歳の元ボクサーが,底辺人生を越えてみようと新人王戦ですさまじく正面対決するボクシング・ドラマ

▼一時は,北京アジア競技大会銀メダルリストとしてうまくいっていたテシク。今や彼は,路上でお金をもらって自分を人々に殴らせる仕事をしてい る。賭けの借金と工場の火災のために,持っていたものすべてを失った後,生計のためにやむを得ず路上で殴られるボクサーになったのだった。

▼彼に唯一残されたものは,妻と愛する息子だけ。彼を訪ねてくるのは,噂を聞いて全国各地から駆せ参じる野次馬たちと,借金の取立屋だけのわびし い境遇だ。弱り目にたたり目で,妻は離婚を要求し,人生の唯一の希望である息子ソジンと一緒に暮らせなくなったテシクは,深い絶望感に陥るようになる。も う退く所も,失うものもない人生終盤の老ボクサーテシクは,もう一度希望を抱いて新人王戦出場を決心する。

▼喧嘩とかつあげが日課のサンファン。ある日,大きな喧嘩にまきこまれ,合意金を得るため,金持ちをねらった強盗事件を起こし少年院に収監され る。収監初日からボクシング部のクォンノクと勝負を繰り広げて独房に閉じ込められるという順調でない生活が始まる。クォンノクとの戦いを見た刑務主任は, サンファンにボクシング部加入を薦める。ボクシングは,したいことも,なりたいものもなかった19歳のサンファンに初めて何かできるという意志と喜びを与 える。

▼そんなある日,工事現場で仕事をする父が,突然の事故で亡くなり,祖母までも倒れたという知らせが伝えられる。ショックに陥ったサンファンは,父を失った悲しみを忘れ,祖母が一日も早く元気になるようにと,新人王戦に出場して優勝の夢をかなえようという戦意を燃やす。

砂入:チェ・ミンシクです。この人は『オールドボーイ』、『春が来れば』、『ラブレター ~パイランより~』などで、人生の失敗というどうしよう もないなり様、どん底に落ち果てた状況に這いつくばる姿が非常に説得力があります。少し顔が、いい顔でもなく、少しえげつない所も、この人の魅力でしょう か?

もう一人のボクサー、リュ・スンボムは初めて見ました。これまたいい顔ではなく、最初にドレッドの髪型をしてるんですがこれがまたなんか似合わな い。が、この人が監獄に入り、ボクシングを始めるんですね。そして目標とともに鍛え上げ、戦いに挑む、血を吐き、マウスピースを口に入れる表情は、笑って いるのか、不気味な雰囲気、この顔は演技を超え、本性的な物が浮かび上がるような気もします。

チェ・ミンシクはどんどん、社会に対応できなくなります。息子をサウナに連れて行き、しっかりお父さんをするんですね、それが感動的です。涙優しいお父さん、何を言ってるのか判らないが(たぶんボクシングで脳がいかれてて、言ってることがメイクセンスしない)、感じます、白熱の優しさを。

映画としてはまあまあでしょうか?最後も在り来たりなハッピーエンディングな終わり方。悪い気はしませんが、見てよかったとは思わない。所々がキュントした映画でした。

No comments: