Wednesday, March 19, 2008

「空き家(うつせみ)」"3-IRON (Bin-jip)" 빈 집 キム・ギドク監督・Ki-duk Kim

うーん、前々回のリビューで書いた映画「春夏秋冬そして春」のキム・ギドク監督の2004年の作品です。2004年ヴェネチア国際映画祭で最優秀監督賞をとった作品です。これは、あれだけ「春夏秋冬そして春」で悪口を書いたのですが、「うつせみ」は結構気に入りました。
映画は始まり、スマップとかトキオとも言っても可笑しくないジャニー系の俳優、ジェヒ(JaeHee. 재희)。ジェヒが扮するテソクは孤独の町の生活の中、人の家に勝手に入り、何も盗まず唯何日間か住み続け渡り歩く若者。大きなバイクに乗り、無言で(この 人は喋れない役?)、流離っています。この出だしは少しうーん、トレンディー映画じゃんと思い、 キム・ギドク監督だなーと思いましたが、なかなか最後まで見ると少し心にしみました。

音楽のチョイスは「春夏秋冬そして春」にも言えるけど、ダサダサ。この監督本当に女性の叫び系のメロドラマチックな曲が好きですねー。時たまゆっ くりと流れるエリック・サティの『ジムノペディ』の様なのが一瞬流れます。ああいった感じの音楽をずっとバックに流せばもっといいのに、と思ったりもしま した。すると、突然女性の叫び系のメロドラマチックな曲に成るんですね。静けさが気持ちいいなーと思ったところで。

ところで余談ですが、ジム・ケリーが出ている 「エターナル・サンシャイン」(Eternal Sunshine of the Spotless Mind)の音楽は、John Brion / ジョン・ブライオンというコンポーザーが作っていますが、この映画でよく流れるあのピアノの曲は本当に名曲だと思います。何階聴いても素晴らしい、ジムケ リーが其の時の彼女のタンジェリーンを呼んでいる時の感傷的なシーンを鮮明に思い出します。電球
さてさて、少し疲れた顔が綺麗な女優イ・スンヨン 李丞涓 이승연 I Seung-Yeonが、愛が無い結婚の家庭で感情が果て無口になってしまった妻の役をします。映画開幕の時は野蛮な夫に顔を殴られ、ほほが一面酷い色に 成ってたりしますが、(こんな演出は少しまた大げさで一瞬あーあーキム・ギトク監督ー!と、思いがちでした)話は進み、イ・スンヨンの演じるソナの悲しげ な表情、そしてテソクと会い、徐々に恋に落ちていく様は、この二人の無言(本当に全く喋らないんですね)の演技の中で微かに波打つように来るんですね。孤 独であり純粋に生きるテソクの変な習慣、たとえば勝手に住んでいる人の家で、其の家の持ち主の洗濯をやってあげたりとか、それも洗濯機ではなく手で。とっ ても美味しそうな韓国料理(チゲやら前菜の盛りだくさんな所)をささっと作ったりなどと、中々この映画野中で色々な素敵な要素とし光ってます。

しかし波乱万丈、激しいキム・ギトク監督であるから、アレーという様な展開はありますが、それが話の展開のよさのオブラートに囲まれ全く目立たなくなり、映画が終わった後は結構すっきり感と然るべき落ちた愛の好印象が残ります。

二人の環境の雁字搦めな毎日、お互いの孤独の発見、結びつき、そして其の微かな愛が芽生え、それでも降りかかる苦境に耐え、最後はあっと驚かせるハッピー・エンディングがきます。

うーん、これはやられたなー。キム・ギトク監督のほかの映画では激しく出すぎる鬼才さが、うまーく、バランスよく、美味しく出来あがっています。うーんトレヴィアン!

ヴェネチア取ったの判るわ!おにぎり

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